サバ州は,昔,北ボルネオと呼ばれた通り,ボルネオ島の北側にあり,北緯5度から7度に位置します.南西部は,サラワク州と南部はインドネシアのカリマンタンと接し,西部と北部で南シナ海,北東部はスルー海,東部はセレベス海に面し,青い海と澄んだ水および白い砂浜に囲まれています.全体に山が多いところであり,州の西部にクロッカー山脈が横たわっています.山脈の北東に一段と高いマレーシアおよびボルネオ島の最高峰キナバル山(4,095m)の希峭があります.大きな川もたくさん流れており,内陸部は山と川から構成される起伏に富んだ地形になっています.最も大きな川は,キナバタンガン川で,ケニンガウの付近に端を発しサンダカンの南でスルー海に到ります. サバは,「風の下の国」と言われるとおり,台風帯の南に位置し,太平洋地震縁の外側にあります.サバの殆どの地域では,雨期は10月から2月の北東モンスーンの時期であり,乾期は3月から9月の南西モンスーンの時期ですが,あまりはっきりした区別はないようです.日中の日差しにより,水蒸気が上空に溜まり,重さに耐え切れなくなると豪雨となって落ちてくる,毎日がこの繰り返しのようです.気温は32℃を滅多に越えないし,20℃を滅多に下回りません.沿岸部は湿度が高いけど,ラナウのような内陸部の高原地帯は爽やかです. 首都はコタキナバルです.沿岸部にコタキナバル,サンダカン,タワウなどの大都市が存在し,人口の3/4は沿岸部の平野に住んでいます.サバ州は,まさに人種のるつぼです.多民族が住み,数種類の宗教が信仰されており,いくつかの言語が用いられています.最大人口を占めるのはカダザンドスン族であり,華人が続きます.一口にカダザンドスンと言っても30位の支族からなり,少なくとも10の方言があります.彼らの多くはクリスチャンですが,ムスリムもかなりいます.サバ固有の人種の人口比は,カダザンドスンの次にバジャウが,その次にムルが続きます.華人は,客家が多く,広東人,福建人,・・・と続きます.サバへの華人の大量移住は,英国の北ボルネオ特許会社の設立後であり,1880年代に始まったばかりです. 16世紀以前,サバはブルネイ王国の支配下にありました.19世紀に英国の保護領になり,1942年日本軍が侵攻しました.第二次世界大戦後英国の植民地になり,1963年に独立し,同年,マラヤ,サラワクと合併して,マレーシアを形成しました. 参考文献
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